昨年12月のことですが、「昨夜のカレー、明日のパン」という小説を読みました。
木皿泉さんという、夫婦脚本家の方の本です。
うつ病回復期を過ごしていくうちに少しずつできることが増えて、「心が温かくなるような小説を読みたい」という気持ちが湧きました。
ネットであれこれ調べていくうちに辿り着き、調べたら地元の図書館にありお借りしました。
お話は短編集なのですが、登場人物が繋がっています。
亡くなった夫の父、ギフと暮らすテツコ。
テツコの亡くなった夫の幼馴染で、スチュワーデスだったけれど笑えなくなり会社を辞めたタカラ。
など、テツコとギフとまわりの人たちのお話が書かれています。
死や病気も出てくるけれど、決して重くはなくて。
温かくて、優しくて、心に沁みて、ホロホロと涙が出ました。
そっと心に寄り添ってくれるような、ふわっと包んでくれるような温かさ。
お話の中にいくつもぐっと心に響く言葉があって、ノートに書き留めました。
描写も美しくて、風景や音や匂い、色を感じられました。
いつまでもこの本の世界にいたい、本を読み終わってしまうのが名残惜しい、またこの本を読みたい。そう感じました。
本は好みがあるかと思うのですが、うつ病が少しずつ回復してきて本を読むのが苦痛ではなくなった方で、温かくて優しいお話を読みたい方にはオススメです。