うつ病を患うと、自分を責めてしまう方がいらっしゃるのではないかと思います。
また、もともと自分を責める事が多かった方もみえるかもしれません。
「うつ病を患った方は自分を責める方が多い」と先日の診察でも医師が言われていました。
今回は、自分を責めることを手放していった中で気づいたことを書きたいと思います。
目次
自分を責める思考の要因と対策
要因1.比較していた
自分を責めてしまう要因の一つに、比較していることがあるのでは、と思います。
一言に比較すると言っても、色々とあるので、分けて考えてみます。
他人(その件に関して優れている誰か)と比較して自分を責める
「〇〇さんは出来ているのに」と、その件に関して優れている誰かと比較すると、自分を責めることがあるように思います。
〇〇さんとあなたは別の人で、持ち合わせている個性や能力は異なります。
他のことに関しては、〇〇さんよりあなたが出来ることだってあるかもしれません。
比較しても、それぞれが異なるので意味のないことだと、うつ病の回復過程で思い至りました。
人は人、自分は自分。
そんな風に過ごしていけたらいいのではないかな、と思います。
理想と現在の自分を比較して自分を責める
人と比較はしなくても、自分が思い描く理想の自分と現在の自分を比較して、「自分はダメだ」と自分を責めることがある気がします。
理想を持つこと自体は、悪いことではないと思います。
「あんな風になれたらいいな」「これが出来るようになったらいいな」と思うと、それに向かって努力をしていけます。
まだそこには至らない自分を見た時に、自分を責めるのではなく「うーん、まだまだ道のりはあるなぁ」くらいに留められると、精神衛生上いいのでは、と考えています。
過去の自分と比較して責める
歳を重ねたり、病気を患った時に陥ることがある気がします。
「〇〇出来ていたのに、こんなことも出来ないなんて…」と過去の自分と比較して自分を責めてしまう。
年齢を重ねれば、難しくなることもあります。
また、病気を患えば、体調が悪いのだから出来ないことが出てきて当然です。
うつ病は脳の病気だと思っているのですが、脳がうまく機能しなくなればあらゆることが難しくなって自然なのだと思います。
過去の自分はそのときの自分。
「今はこういう状態なんだな」ということを受け止められると、心が落ち着くように思います。
要因2.自分を許せなかった
大切な友達などが失敗したら、あなたは何て言葉をかけますか?
「大丈夫だよ」
「そういうことも時にはあるよ」
「ドンマイ」
そういった言葉をかけるのではないでしょうか。
しかし、自分が同じような失敗をした場合「なんて私はダメなんだ」「こんなことも出来ないなんて」と自分を責めてしまう。
そこには、自分を許すことが出来ない気持ちがあるのでは、と思います。
自分に厳しい。
その姿勢は、何かを上達しようとする時にプラスに働くことがあります。
でも、向上していく過程で失敗があったりすぐにはうまく出来ないことは自然なことなのに、それを許せないと苦しくなってしまいます。
また、いつだって完璧な人は、この世にいたとしてもごく少数では…と思いますし、
もしそういう方がいたとしても、近寄りがたくなってしまう気がします。
自分の失敗や至らないところを受け止めて、許せると、心が楽になるように思います。
要因3.現実の自分を認めていなかった
現実の自分を理解して認めていないと、自分を責めることがあるように思います。
現実の自分を直視しておらず「もっと出来る自分」が通常だと思っていると、
本来の実力ではその事柄をうまく出来なくても自然なのに、出来ないとダメだと感じてしまうことがある気がします。
うつ病になり、自分をじっくり見つめる機会を得て、自分を知っていきました。
その中で、恥ずかしい限りですが、現実よりだいぶ出来る自分に見積もっていたことに気づきました…
現実の自分を認めたことで、何かうまくいかなくても、「まぁ私だからね…こういうことも起こるよね」「今病気中だから、まだこれは難しいんだ」と思えるようになりました。
そう思うと、自分を責めることなく、「これからはこうしていけたらいいな」と前向きな気持ちに切り替えることが出来るようになりました。
また、現実の自分を理解しているので、やたらと高い目標を掲げることなく、焦ることなく、じっくり進んでいけるようになったと思います。
うつ病と自分を責めることの関係
うつ病と自分を責めることには関わりがある気がしていて、
責めているとうつ傾向になる気がするし、うつの状態が辛い時は自分を責めがちな気もします。
鶏が先か卵が先か、という感じがありますが、責めることが減ってくるとうつが楽になってくると体験から感じています。
うつを患う方や自分を責めがちな方が、少しでも自分を責めずに、心中穏やかに過ごせますことを心から願っております。
おわりに
あくまで自分の経験を振り返ってのことなのですが、自分を責める思考の要因と対策について書いてみました。
自分を責めることはダメ、と思ってしまうと、自分を責めてることをまた責めてしまう…というループになるので、(経験あり)
もし責めてしまっても「こういうことがあったんだから、責めたくもなるよね」と、責める自分も許して行けると、少し楽になるかもしれません。
自分を責めてしまうのは、それだけ責任感が強かったり人一倍頑張り屋さんだったり優しかったりするから、ということもあると思います。
責めている自分の中にあるそんな一面を発見できると、「こういう面もあるよね」と思えて、責める気持ちが少し和らぐのでは、と考えております。
うつ病回復の道のりは人によって長さは違えどそこそこ時間がかかりますが、
あせらず、あわてず、あきらめず。
じっくり、ゆっくり、行くことにいたしましょう。