うつ病はあらゆる機能が低下する病気だと思っています。
そのうちの一つに、私の場合は五感が働かなくなることがありました。
本日は、五感の話です。
うつが真っ盛りの頃、五感が動かなかった
うつ病がひどく辛かった頃には、あらゆる五感が停止していました。
目は、見てはいてもそこから何かを感じたり心が動くことがなく、視野がとても狭かったです。
歩いていてもうまく避けたりできず、危なっかしい状態でした。
食べ物を食べても、「おいし~♪」と幸せを感じることもなく、
音楽は心地よさどころか聞くのが辛かったし、いい匂い、と心が反応することもなかったように思います。
無彩色。
そんな状態でした。
五感が少しずつ戻ってくる
うつ病が少しずつ回復してくるにつれて、五感が動くようになってきました。
その喜びは、視界が開けたような、世界に色が戻ってきたような、大きなものでした。
目で見て、「美味しそう」と感じ、食べて「美味しい」と感じられること。
雨が降る前に雨の匂いを感じたり、花や緑の香りを感じられること。
美しい旋律や音を聴いて、心が満たされること。
歌詞が心に響くこと。
綺麗な景色を見て、「キレイだな~」と感じられること。
小説を読み、表現の美しさや世界観を感じられること。
そうした一つ一つのことに、じーんと喜びを感じています。
感じることを味わい、楽しんでいます。
感じられる、って、本当に幸せなことだとしみじみ思いました。
うつ病が良くなって日常の生活になると感じられることがどれだけ幸せか薄れてしまうかもしれないから、しっかり心に刻んでおきたい。
また、日常を過ごす中で五感が鈍ってくるとだいぶ疲れている状態かもしれないから、五感の状態は観察しておきたいな、と思いました。
〇〇力は五感の次の段階らしい
五感は少しずつ戻ってきたものの、あらゆる〇〇力はまだまだだな、と感じています。
記憶力、集中力、体力…etc
主治医に聞いてみたところ、〇〇力は「力」なので、もう一歩回復してくると戻ってくる、ということでした。
今は感覚が戻ってきてる段階だね、と。
とても納得。
また、使っていくことで戻ってくる面もあるそうなので、状態が少しずつ良くなり少しずつ何かをしていくことで戻ってくることもあるんだろう、と思いました。
おわりに
うつ病の辛いところは色々ありますが、「心地よい」「楽しい」「美しい」「美味しい」「いい匂い」などから感じられる幸せを感じられなくなることは、大きな辛さの一つだと思います。
人間、ささやかな幸せを感じて和んだり心癒されたり力をもらったりするのに、その幸せを感じ取れない、というのは、なかなかに辛いです。
今うつ病が辛い状態で、私がなっていたように何も感じ取れなくなっている方がみえたら、うつ病が回復していくにつれ少しずつ感じ取れるようになってくるから大丈夫、とお伝えしたいです。
(私はこんなに何も感じ取れなくて大丈夫か、感覚が壊れてしまったのでは、と当時思っていました…)
回復していく過程で感じる喜びは、病気をしたからこそ鮮明に感じられます。
病気をしたからこそ、有難みが身に染みる。
病気って、悪いことばかりじゃない。
うつ真っ盛りの頃は苦しくて堪らなくてとてもそんな風には思えなかったけれど、今はそう思っています。